旅が恋しい#001

(イギリス)

TRAVEL

2021.0510

旅の記憶は濃い。Google Earthで自宅に居ながら世界旅行ができるようになっても、飛行機で海を越えた体験はとてつもなく生き生きとして、いつまでも鮮やかです。

かいだことのない匂い、異国の雑踏、初めて口にする食べ物。映像や雑誌にも載っていない何かが、行き先で待ちかまえているからでしょうか。

そのことを初めて意識したのは、2013年のイギリス旅行。twitterの募集にピンときて、導かれるままに参加した7日間のツアーは、ガイドブックにもあまり載らないストーンサークルを巡るという、すごくマニアックなものでした。

ロンドン観光はそこそこに、牛や羊が草をはむ曇天の草原を抜けて、巨石のならぶ場所へ。石の傍らには、乾燥した花輪や香木を燃やした跡が。なんともプリミティブで、マジカルな匂い(ストーンヘンジにも行ったけれど、しっかり観光地化されていました)。

イギリスは緯度が高いせいか、くもっていても日焼けし、乾燥していてのども乾きます。風がつよく、6月でもダウンコートが手放せません。ときどき小雨がパラパラと降りだします。これでも一応、観光のベストシーズン……。

イギリス人からブラックジョークが生まれたのは、この気候が関係しているんだなと思いました。広大で太陽がさんさんと降りそそぐ、アメリカ大陸に憧れた理由も。

麦畑のミステリーサークルにもおじゃましました。農家さんが作ったんじゃないの? いえいえ、これは突如出現したもので、UFOからのメッセージです。ほんまかいな~、でも、おもしろすぎる! 

このほか、アーサー王の生誕地、イギリスのモンサンミッシェルといわれるセントマイケルズマウントや、聖ミカエルの塔、修道院跡でダウジング体験など、まるでRPGゲームのような展開にニンマリ。

食事が不評なワケも分かりました。なんとなく茹ですぎ、焼きすぎなんです。また、レストランのテーブルには塩、コショウ、ケチャップ、マスタードがデンと鎮座していて、好みの味付けをするスタイル。そのまま口にすると味がしない(不味い)ことを、あらかじめ知っておくといいかもしれません。

旅の体験は、じぶんの中に新しい世界観をダウンロードするようなもの。そのおもしろさを知ってしまうと、旅のない人生にはもう戻れません。

パンデミック後の海外旅行がどのように変化していくかは未知数ですが、あふれる好奇心を胸に、スーツケースをパッキングして、また旅に出られる日を心待ちにしています。

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