ご縁と引力

~イスラエル(前編)~

COLUMNTRAVEL

2021.0726

いい旅に巡り合うためのキーワードは、ご縁と引力。それをとくに感じたのは、2016年にイスラエルへ行くと決めたときでした。

イエス・キリストの生誕地であるイスラエル。キリスト教の幼稚園に通っていたわたしは、クリスマスの生誕劇に登場する「ベツレヘム」という街の、エキゾチックな名前の響きに惹かれていました。
さらにその近くには、わたしのファーストネームと同じ「エリコ」という街も。これは、ぜひとも訪れてみたい! 旅のモチベーションって、ほんのささいなことだったりしますね。

けれど、イスラエルは治安の不安定なイメージがある国。なるべく安全かつ、好みに沿ったツアーはないかと試しに検索してみたら、すぐに見つかりました。現地在住の日本人女性が案内する、キリストゆかりの地を巡るツアー。これだ~っ! でも中東怖いよ~! ツアーの締切は目前。
ハートは断然GO、思考はぐるぐると躊躇。このせめぎ合い、かなり苦しい。最悪、命を落とすかもしれないし……。そこでわたしは、天に答えを訊ねることにしました。

「いまから観る映画に、イスラエルに関わる何かが登場したら、わたしは旅を決めます」

その映画とは……シン・ゴジラ。友人に薦められていたので、モヤモヤを抱えつつも、映画館へ。そして、運命のシーンは後半にありました。
ゴジラの活動を停止させるため、ヤシオリ作戦を決行した矢口(長谷川博己)が、カヨコ(石原さとみ)と話すワンカット。ロケーションは科学技術館の屋上。その壁面には、一面の六芒星。 イスラエルの国旗にも描かれている六芒星です。分かりやすっ! 座席でひとり、別の意味で震えました(笑)。

それから数日後、ツアーの締切ギリギリにようやく申込みへ。旅の予備知識として、宇野亞喜良さんの挿絵が入った聖書の解説本を読み、現地集合というビビリには高めのハードルを越えて、ようやくイスラエルの地を踏むことができたのでした。

小さな好奇心からスタートして、ツアーと巡り合えたご縁。そして、わたしの背中を押してくれた、偶然の積み重なりと引力。
怖い、不安だ、何を言われるか分からない、時間が、コストが……。でも、行ってみたい、体験してみたい。旅に限らず、この「でも」の声を拾っていくことが、生きていくなかでの醍醐味でもあります。

前日譚が長くなったので、旅のハナシはまたの機会に。(つづく)

ek 旅が好き。のんびりも好き。日々のくらしをよりよく、すこやかに愉しむヒントをお届けできればうれしいです。

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